新築 さやか on 11 8月 2010
土地探し
少し前から父に「家を建てる土地は俺に任せろ」と前にも聞いたことのあることを言われていた。
任せろって言ってもなあ。
私たちにだって希望の土地くらいあるかもしれないのに。
といいつつ、特に探しもしていなかった私たちだったが、そんなある日父が土地を見つけたと写真を持ってきた。
実家近くの住宅地。
私がこどもの頃は遊び場にしていた山を切ったようなところ。
住宅地のメリットとしては、上下水道が完備されているところもあるし、道路もきちんと整備されている。
日当たりも考えられているところが多いし、コミュニティができている。といったところかな。
私にとっては庭のようなこの住宅地だけれどだんなさんにしてみたら私の実家に近いしちょっといなかだし、どうなんだろう。
そんなことを思いながら土地を見に行った。
この住宅地はもう10年も前に造成されたところだから人気のあるところはもう売れてしまっただろうに。
そんなことを考えながら実家からテクテクと歩いていた。
そして空地を見るたびに「ここかな?ここかな?」と売地の看板を見ていたけれど、該当するものはナシ。
と、父が「ここ」と立ち止まった。南道路の角地。
いい土地だった。
「へえ、こんなところ残ってたんだ。でも高いんじゃないの?」と私が言うと、
「俺の」と父が一言。
は?どういうこと?と目をまるくしている私に父が言った。
「俺の土地。お前のために買った」
母が言うには私がいつか家を建てるときのために、この住宅地が売り出されたときに父は真っ先にこの土地を買ったんだそうだ。
えー、そんなお金、うちのどこにあったの?
土地だけで所有してたら、税金がもったいなかったんじゃ?
なんていらないことを考えた私だったが、親心、ありがたく受け取ることにした。
だって、もし、断ったらどんなことになるかわからない。
それはだんなさんもよくわかっているようで、ここは甘えることになった。
お父さん、だんなさん、ありがとうね。